2022年12月19日

親に心を向ける


 作家の出久根達郎さんは、古本屋を経営しながら作家を志した人です。直木賞を受賞したとき、本人は古本屋をやめて執筆ひとすじの道を歩みたいと考えていました。

 ところがお母さんは、受賞を喜ぶよりも、物かきの仕事に進むことに不安を感じていました。そんなお母さんの心を察した出久根さんは、その後も古本屋を続けて、地道に働いていることを形として残すことにより、安心してもらうように努めてました。

 こういうことが、親に心を向けることではないでしょうか。

 お母さんが89歳で亡くなったとき、後片付けをしていた出久根さんは 「タカラハコ」 (宝箱の意味) と記された菓子箱を見つけました。

 なかには、30年前、中学を卒業して東京で就職した出久根さんが、お母さんにあてた手紙の束が入っていました。

 「あらためて読んでみると、読み書きのできない母親であることを知っていながら、自分に返事をくれないことを責めているんですね。母はつらかったろうに、宝物として大切にしまっていてくれたと思うと、深い母の愛を感じ涙があふれました」 出久根さんは語っています。

 親子の絆が薄れつつある今、心に残る話ではないでしょうか。


   


Posted by 中川知博 at 08:00Comments(0)

2022年12月05日

自分に必要なくても


 ある日、目の不自由なNさんが友人を訪ねて話し込んで夜になりました。帰りぎわに 「夜道は危ないから」 と、友人は懐中電灯を手渡しました。

 ところがNさんは、笑って 「私は目が見えないのだから、そんなもの必要ありません」 と答えました。

 するとその友人は 「あなたは必要なくても、先方から歩いてくる人が助かるのでは・・・・」と言ったのです。Nさんは「それはそうだ」 と納得したそうです。

 このように、私たちの日々の暮らしの中で、たとえ、自分に必要なくても、相手のために必要なものがあることを、忘れがちです。

 たとえば、病気になったときの笑顔も、そのひとつでしょう。つらい思いをしているのだから、とても微笑むような状態ではないけれど、看護してくれる家族や、お見舞いに来てくれる人たちには、笑顔が必要といえるでしょう。

 見出しなみも同様のことがいえます。さわやかで、すがすがしい服装は、周りの人たちへのおもいやりです。

 自分だけのことを考えていると、 ”自分には必要ない” と答えてしまうことになります。

  


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