2023年09月18日

遠大な計画


 昔、中国でのお話です。ある君主が猟に出かけたとき、一人の老人があえぎながら松の苗を植えていました。

 君主は 「おじいさん、年はいくつかね」 とたずねたら、 「85になりました」 と答えました。君主は 「松はいずれ立派な木に育つだろうが、それではおじいさんの生きている間には使えないじゃないか」 と言いました。

 これを聞いた老人は、木を植える手をとめて、「この木は植えてから百年後に役立てるものです。自分が生きている間に使えないから無駄ではないかとは、とても国を治める方の言葉とは思えません。私は、先は短いですが、子孫のために木を植えているのです」 と答えました。

 これを聞いた君主は、すっかり恥じ入って 「自分がまちがっていた」 といい、その老人を丁重にもてなしたということです。

 私たちは、不透明な、変化の激しい時代だからといって、3年後、5年後ぐらいのことしか考えられないのでは、ないでしょうか。

 30年後、50年後、いや100年後のことを考えたいものです。たとえ遠大であったとしても、未来を大いに語りたいものです。
  


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2023年09月04日

育てる姿勢


 学校教育や子育てには、いろいろな角度で子供と接していく姿勢が大切です。

 まず第一に前向きに向かい合う姿勢です。つまり、教師や親が、子供を前にして、いうべきことをいい、教え、またしつけていく姿勢です。ところが、今は当然いうべきことをいわず、しかるべき時にしからない親が少なくありません。

 第二には、子供と横並びの位置で接していく姿勢です。つまり上下の関係ではなく、心を開いて、子供たちの日常生活の中に目を向けて、心の悩みを察し、受けとめていくことです。子供は子供なりの考えを持って行動しています。 「信頼」 してやることです。

 第三は、背中、つまり後姿で接することです。日ごろ、子供にしつけていることを、まずは大人が率先して実行していくことです。つまり大人が自分自身を厳しく律して、模範を示すことが大切です。いくらきれいごとをならべても、大人がそれに反した行動を取っているようでは、子供は決してついてこないでしょう。

 知徳一体の豊かな人格形成を目指すためにも、上の立場にいる人は、とくに、この三つの姿勢を常に忘れず、接していきたいものです。

  


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