2021年08月16日

幸福と言う青い鳥

 幸福について語るとき、私たちはメーテルリンクの青い鳥という話を引き合いに出すことがあります。

 幸福の青い鳥をどこまで追いかけていっても、青い鳥は向こうの森に逃げていってしまい、実際にそういう青い鳥などはどこにもおらず、幸福の青い鳥は自分の心の持ち方にあるのだと言うことです。

 しかも幸福と言うものは、自分だけのために考えたり、求めたりするものではなく、周りの人々を含め、お互いが幸せに生きることに、責任を持ち合うような生活体をつくりだすものでなければなりません。

 自分が生き、そして働くことが他人の幸福に、つながってゆくのだと言うことを、自覚しえる時こそ、お互い本当に幸福なのです。

 幸福は青い鳥ではありません。それは、私どもが現実に作り出してゆくことのできる “たしかなもの” でなければなりません。

 自分だけでなく、周りの人々が幸福になることの中に、自分の幸福が感じられるような “しあわせ”を作り出したいものです。
  


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2021年08月02日

「いっしょうもち」と「心の遺産」

 「少子化」が問題となっています。私は家庭環境の変化がネックになっていると思えてなりません。

 「いっしょうもち」というお祝いがある事を知りました。子供の一歳の誕生日に、一升のもち米をついて、足の形に似せてお餅をつくり、それを子供に背負わせる風習です。

 「一升餅」と「一生持ち」の言葉をかけたものだそうで、生かされてきたことへの感謝と、これからもすこやかに、食べ物に困らないように、という親の祈りが込めて行われてきたものです。

 かつて、子供の成長は危うかったために、生命をつなぐための願いや祈りが形に表されたものです。その他にも、出産前の「帯祝い」に始まり、誕生後の「食い初め」や「お宮参り」など多くの風習が残っています。

 七五三も、こうした子供の成長を願い、祝うものの一つです。

 日本の社会の底流には、社会全体で子供の成長を祈り、無事にはぐくむという、私たちの先人の長い伝統というものがあり、それが風俗や儀礼となって今日にも名残をとどめています。

 風習や儀礼などは、常に変化していくものですが、先人が後世に伝え、遺したよき伝統文化です。目には見えない「心の遺産」と言えます。

 家庭環境の変化により、いまこうした「心の遺産」を忘れがちです。その結果、子供たちの心の成長にさまざまな影響を与えているといってもいいでしょう。
  


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